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最近、髪のボリュームがなくなった気がする...。食生活のせい? それともストレス? 実は、女性の薄毛は、出産や閉経など、ホルモンバランスの変動が大きく関係している場合もあり、男性よりも複雑なんだとか。そこで、今回は「女性ホルモンと薄毛の関係」や「薄毛対策」について、資生堂研究員の仲西城太郎さんに教えていただきました。
女性ホルモンが髪の毛の成長に大事! というのは、なんとなくわかっている方も多いはず。では、女性の薄毛と男性の薄毛とでは、どのような違いがあるのでしょうか?
男性の加齢に伴う薄毛の大多数は遺伝的要因と男性ホルモンの作用によって引き起こされる「男性型脱毛症」です。前頭部と頭頂部が一定のパターンで薄くなることが特徴です。
一方、女性の薄毛は男性よりも複雑です。実は、女性の薄毛の約半分は「男性型脱毛症」といわれています。更年期を向かえ女性ホルモンの分泌が減少することにより、相対的に男性ホルモンの作用が強まることにより発症するのがこのタイプ。男性と異なり、頭頂部を中心とした比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンが多いとされています。男性型脱毛症についで多いのは「慢性休止期脱毛症」という女性特有の脱毛症です。原因は不明で、男性ホルモンとは無関係です。男性型脱毛症のような特徴的な薄毛のパターンはなく、頭部全体的に薄毛の症状が進行します。
発毛と脱毛には一定のサイクルがあり、以下の3つの期間を繰り返しながら、新しい髪が生え替わっていきます。
「男性型脱毛症」では、男性ホルモンの作用によりヘアサイクルが回るたびに成長期の期間がどんどん短くなり毛髪がうぶ毛化することによって薄毛が進行します(図①矢印)。女性の場合、更年期に女性ホルモンの分泌が減少すると、同様のことが起こると考えられます。
一方、「慢性休止期脱毛症」は休止期の期間が長くなることで、髪が抜けたあとに次の新毛がなかなか生えてこないため、毛髪本数が減ってしまうことによって薄毛の症状が引き起こされます(図②矢印)。
ちなみに、よく言われる「産後の薄毛悩み」は、髪の成長期を維持・促進する女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が盛んな妊娠期と産後のギャップによるもの。妊娠中にエストロゲンの影響で成長期が維持され抜けなかった髪が、産後に一気に休止期に移行して抜けてしまう症状です。この症状は一過性のものなので、あまり心配することはありません。
では、薄毛にならないようにするには、どんなことに気をつけて生活すればいいのでしょうか。
ある特定の食材に育毛効果があるという話には科学的な根拠が乏しい場合も。また、過度なダイエットなどで栄養失調になると髪の成長が阻害され、脱毛が引き起こされることあります。髪に良いと言われている食材ばかりを食べるよりも、バランスよく栄養を摂取することのほうが大切。でも忙しくてそれが難しい...という方は、不足しがちな栄養素をサプリメントなどで上手に取り入れてみましょう。
ストレスや疲労、寝不足により自律神経系や内分泌系が乱れ、体に不調をきたすことがあります。毛髪の成長にもマイナスになることは否定できません。生活のリズムを整えましょう。
紫外線は毛髪だけでなく頭皮に対しても炎症などのダメージを与えることがあります。頭皮の炎症は、毛の成長を阻害したり抜け毛を増やす可能性も。屋外では帽子を被る、日傘を使うなどを心がけましょう。
髪の成長には、栄養素や酸素をたくさん必要とします。頭皮マッサージをすると頭皮の血行がよくなり、毛髪を生みだす毛母細胞の働きを助けます。頭皮ケアアイテムを用いるのもいいでしょう。
発毛を促進したり、脱毛を予防したりする育毛剤を上手に取り入れるのもおすすめです。スキンケアと同じように、薄毛の症状に悩む前から美容液感覚で取り入れられるといいですね。
「最近、髪のボリュームがなくなってきた」「薄毛が気になる」という女性のみなさん。未来の美髪のため、自分にベストなケアや生活習慣を心がけていきましょう!
photo:shutterstock
●当記事の情報は、プレゼンターの見解です。また、個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用ください。
資生堂研究員
研究員
資生堂の研究開発は1916年に始まり、品質と安全を最優先に、最新の皮膚科学と処方開発技術に基づいて開発を実現してきた。世界中の化粧品開発者が目標にする研究発表会「IFSCC」では、世界最多の受賞。
http://www.shiseidogroup.jp/rd/